一般的には日照時間が短く、寒くなる冬ほどうつになりやすいと考えられています。しかし、夏特有の生活環境や暑さ、湿気が引き金となって夏に気分が落ち込む方もおられます。

お盆休みが明け、学童期のお子様がおられるご家庭においては新学期が近づき、日常生活がガラッと変わって疲れも出やすい季節です。

今回は夏のうつについてお話します。

夏のうつ

アメリカのデータですが、人口の4-6%が季節性の感情障害(うつや不安などの症状)を持ち、その10%は夏季に症状が出やすい方たちと言われています。

興味深いことに、例えばインドのように赤道に近い国々において、冬よりも夏にうつが多いという報告があります。夏のうつの原因はよくわからないそうですが、暑さと湿気がその原因であろうといわれています。

年々暑くなっている日本、今後夏のうつは増えるのではないでしょうか。

夏のうつの原因

主な原因として以下が指摘されています。

①生活リズムの変化

仕事の休みや子供の長い夏休みで自分も家族も睡眠や食生活、行動などが乱れがちな季節です。

起床から就寝までの生活リズムが安定していて日常の中に何らかのルーティンがあると心身の健康が支えられるものですが、夏は普段と違う生活リズムとなり、調子が狂うということがあります。

②暑さや湿気

海や山、スポーツなど、アウトドアを楽しむ人にとっては良い季節ですが、日差しや暑さ、湿気を避けるためにエアコンの部屋にこもりがちとなることがあります。

③経済的負担

旅行や子供の夏休みの間の特別保育(サマーキャンプ)代など、この時期は特別な出費が嵩みがちです。経済的なプレッシャーが大きな場合はストレス因となることがあります。

④ボディイメージ

薄着の季節は、自分のボディに意識が向き、コンプレックスを感じやすくなることがあります。

夏のうつとの付き合い方

お盆休み明けで仕事に戻っていく方は、再び緊張を伴う生活リズムに戻っていきます。

また学齢期のお子様方を抱えた共稼ぎのご家庭は、学校が始まるまであと一息、学童保育の手配やお弁当作りの疲れを抱えながら夏休みの宿題の追い込みもおありでしょう。新学期が近づいてお子様の不安が出てくることもあり、家事の切り盛りだけでなく精神的なサポートにも心を砕いておられることと思います。

“ただ元の生活リズムに戻るだけだから大したことない”と思いがちですが、夏の終わりのこの時期は暑さで疲れた体で新たな環境変化への準備期を迎えますので、家族の構成員一人一人、日常における小さなストレスが積もりやすいものです。

「さあ仕事だ、頑張らなくちゃ」、「疲れていても家事はこれまで通り完璧に」と、“頑張る方”というのは新しい環境をもろともせず突っ走る傾向にあります。しかし、夏特有の様々なストレス因と心身の負担があるということは自覚していきましょう。

思ったように動けないからと自分を責めるのではなく、まずはこれまで頑張ってきた自分をいたわりましょう。新しい環境の立ち上がりはゆっくりでもよろしいのではないでしょうか。

厳しい暑さが続きますので、どうかくれぐれもお大切になさってくださいませ。