タイの涅槃仏(ねはんぶつ)

夢には睡眠中にみるもの、将来についての願望など、色々な意味がありますが、今回は睡眠中に見る夢の話題です。

自分を知る手がかりとしての夢

「最近夢を見ますか?」「その内容はどんなものでしょう?」

私は面接の中で、このようにお尋ねすることがあります。

心理療法において夢は「無意識から意識に向けてのメッセージ」「抑圧された願望を表わすもの」などと理解され、自分を知る手がかりとして活用されてきました。

実際にカウンセラーがどのように夢を面接に活かすかは、人によって違いますが、ビジネスパーソンの面接が多い私の場合は、その方のストレスのレベルやうつ病からの回復状況などをアセスメントする一つのアプローチと考えています。

夢の内容とこころの状態

例えば「いつも追われる夢」「火事や事故に会う夢」をみて嫌な気分で目覚めるという方がいるとします。

お話を伺っていくと、常に案件に追われ、疲れて集中が下がり、今度はミスを恐れる不安が大きくなって確認作業で余計に時間がかかり、さらに追い詰められる、といったような職場状況にあることがあります。

こうした場合、仕事に追われ、重大ミスに会ってしまう、そんな極度のストレス状態が夢に一部表れたと理解することができます。

「火事や事故に会う」というタイプの夢の場合は、その結末がどうなのかも私はとても心配します。自分が助かったのか、けがをしたのか、亡くなったのかなど、慎重に、丁寧に伺っていくことで、その方が感じている絶望の度合いを見ることができると考えているからです。

面接の中で、夢について一緒に話してみることで、ご本人が自分のこころの状態についてより理解を深めることが可能となるように感じています。

うつ病の方の回復のプロセスでは、例えば、初めは、「意味はよくわからないが恐ろしい」といった怖い夢の毎日が、次第に恐ろしい内容は出てこなくなり、やがて「職場で経験した失敗場面や苦手な人が登場して、嫌な気分となった」と現実状況を映し出すような夢となり、そのうち「よく眠れるようになって夢をあまり見なくなる」と変わっていくことがあります。こうした経過も話題にしていくと、ご自身の回復が実感できるということもあります。

また、心理的な話からはそれますが、睡眠中は感覚が過敏なので、腹痛の夢が胃潰瘍の予告となるなど、健康のサインとなることもあるといわれています。

セルフモニタリングとしての夢

自分のストレスレベルをモニターし、マネジメントしていくことがとても大事な時代になりました。セルフモニタリングのひとつとして夢を活用してみてはいかがでしょうか。

セルフモニタリングに際しては、こういう夢はこうだというような画一的な解釈をせず、自分なりに考えてみるのがポイントです。