ストレスチェック制度が始まって2回目のチェックが終わったという方も多いと思います。

ストレスチェックと産業医診察

ストレスチェックが終わってしばらくすると、「高ストレスとの判定で、産業医の診察を受けるよう案内が来た。自分の不調を会社に知られたくないので希望したくないが、どうしたものだろうか」という相談が寄せられます。結論として産業医診察を希望しない方がとても目立ちます。

厚生労働省によるストレスチェック制度の実施状況調査(H29年7月)でも、ストレスチェックを受けた労働者のうち、医師の面接指導を受けた人が0.6%と言いますから、データで見ても極めて少ないことがわかります。ストレスチェック制度の目的は一つ目はセルフチェック、二つ目は職場環境の改善を目指すものですが、後者についてはまだまだ課題がありそうです。

ストレスチェックの質問項目の疑問と課題

また、ストレスチェックの質問項目について、かねがね疑問を感じていることがあります。

ストレス反応には①心理的反応(不安、苛立ち、落ち込みなど)、②身体的反応(頭痛、、不眠、食欲不振など)に加えて③行動面の反応(アルコールやギャンブルへの依存など)があります。

多くの事業場ではストレスチェックの質問紙として、最も有名な「職業性ストレス調査票」を用いていると思うのですが、行動面の反応についての質問がありません。

このため、アルコールへの依存傾向という行動の問題のある人がストレスチェックでは“問題なし”、となる可能性がとても高いのです。これは問題です。

行動の問題は、“自分にとって厳しいストレス状況を心の中で処理しきれないために、現実から逃避している状態”ですから、本人や周囲が非常に困っているような深刻な場合も多いのです。

何故行動面についての質問が職業性ストレス調査票に入っていないのかはわかりませんが、日本が飲酒に寛容であることの象徴なのか、と考えています。行動の問題も含めてストレスレベルを見る、というような改善も今後の課題なのではないかと思います。