新幹線・台車の亀裂をめぐる引継ぎ問題
名古屋駅で新幹線のぞみの台車に大きな亀裂が見つかった問題、JR西日本の乗務員が新大阪駅でJR東海の乗務員に引き継ぐ際、「異臭はあったが異常はない」と口頭で報告したことが調査の対象となっています。
引継ぎのトラブルと聞くと、引継ぎをする側、受ける側双方の立場がわかり、身近に感じでぞっとした方も多いのではないでしょうか。
業務引継ぎについてのアンケートによると
少し古いデータですが、2015年にリクナビNEXTジャーナルが異動・転勤時の業務引継ぎに関するアンケートを行っています(20代、30代276名)。
これによると、65%の人が引継ぎに不満を感じており、その理由は
①引継ぎ資料がわかりずらい60.8%
②引継ぎ資料・内容に漏れがある50.8%
③引継ぎ資料がなかった(口頭の引継ぎ)48.5%
でした。そのほか、引継ぎ相手の態度が横柄・いい加減、十分な引継ぎ時間がないなども不満の理由としてあがっています。
引継ぎは、このアンケートのような異動・転勤時だけでなく、日勤・夜勤交代時、有給休暇に入る時、短縮勤務の方の退社時など、極めて頻繁に行われるものです。ビジネスの不断の営みに欠かせない引継ぎですが、こうしたアンケートを見ると、その質はあまり高くないようです。
今般のJRのケースは異なる会社の職員への、口頭での引継ぎです。しかもほんの僅かの時間で行う必要があり、極めて難しい引継ぎといえるでしょう。
コミュニケーション改善の原理原則
コミュニケーションの語源はラテン語のcommunicareで、「共有する」です。
引継ぎをする側、受ける側双方において、価値観、倫理観や業務遂行上得ているスキルや経験などに違いがある場合は「共有するもの」が殆どありません。
したがって、まずは引継ぎをする側が、現在の状況やその背景、どのような進捗状況であり何が課題かなど様々な情報を提示し、「共有するもの」を増やす努力をすることが大事です。
口頭での伝達には言い損ない、聞き間違いのリスクがありますので、やはり書面、あるいは図面での提示が望ましいところです。
年末年始、交代で休暇を取得という方もおられるでしょう。気持ちの良い引継ぎ、心がけください。
今年一年皆それぞれの立場で頑張ってこられたことでしょう。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。