これまでのコラムで、入社、異動など職業面、結婚、出産、引越しなどプライベート面の大きなイベントがきっかけでその後の環境変化にストレスを感じて、体調を崩すことがあるというお話をしてきました。でもストレスのきっかけはこうした大きなイベントだけではありません。

 厄介なデイリーハッスルズ(daily hassules)

デイリーハッスルズ(daily hassules)は、日常生活の小さなイライラのことです。皆さんがイラッとするのはどんなことでしょうか?

混雑しているとはいえぶつかってきた人が謝らない、職場の隣の席の人の机がだらしない、夫や妻がいつも一言多い、など色々あることでしょう。

日常の小さなイライラであるはずなのに、これが厄介なことに、案外忘れられず一日不愉快な気分になったり、すぐまた似たようなイラッとする出来事に遭遇したりして、気づけばストレスが結構溜まってしまう、ということがよくあります。

〝デイリーハッスルズでストレスが爆発寸前“という相談は、比較的長く面談している方の相談で時折話題となります。例えば歩いていて、通りすがりの人がぶつかってきた(と自分は思う)のに謝らない、そのことで腹を立てて一日不愉快になった、そんなケースで少し考えてみましょう。

マナー感覚は人それぞれで、もちろん、年配の方からみれば今どきの若者のマナーに腹を立てるということがあるのは自然ですが、何故そんなにもイライラするのかを探索してみると、その方が抱えている色々な背景が浮かび上がってくることがあるものです。例えば次のようなことです。

  • 日常生活や職業生活において孤独や疎外感を感じていて、「人が自分を軽んじているんじゃないか」「馬鹿にしているんじゃないか」かとの思いを強めている。そのため、人の自分に対する態度に敏感となり、何かの出来事にそうした気持ちを読み取りやすくなっている。
  • 不快に思ってもニコニコしたり、嫌だと思っても人に譲ったり、アサーティブな自己主張が苦手で、人から押し切られがちである。そのため、怒りが内にこもりやすく、ちょっとしたきっかけで溢れだしそうになる。
  • 一方では人を嫌悪しながらも、他方では人を求めているという矛盾を抱えている。人からの評価を気にするので他人のちょっとした言動に気持ちが大きく左右される。
デイリーハッスルズ(daily hassules)への対処法

ちっちゃなストレスに捕らわれている自分も嫌なので、うまく受け流す方法はないのだろうか、とご質問いただくことがあります。残念ながらハウツーというのはすぐにご提示するのは難しいものですが、次のようなことが課題でしょう。

 

  • まずはこんなことで悩んでいる自分が嫌だ、ということについてですが、デイリーハッスルズは、それが繰り返し、長期に亘って継続する場合には大きなストレスとなる可能性があると考えられているものです。
  • 例えば仕事以外に自分が楽しめる領域が乏しい、親しく話せる人がいなくて一人の世界にこもりがちであるなど、生活全体を見渡した時にエネルギーの偏りがあると、そのことが上手くいかない場合に人生全体がダークに見えてしまいがちです。ここはやはり、自分なりの上手なストレス発散法を身につけることが役に立ちます。
  • 起きた出来事に対する見方や考え方を変えるのには努力と時間が必要です。先に述べたように自信のなさ、劣等感が心の中に横たわっている場合がありますので、まずはどんな小さなことでも達成した自分をほめる(これが苦手な方が多いです)、ほめられないまでも認めてあげる、それを継続していくと思考や感情の修正が少しずつ出来てくると思います。

 

真夏の猛暑、イライラしやすい自分の心をクールに過ごす方法、工夫なさってみてください。