皆さんの職場ではメールのやりとりが増えていませんか?ちょっとした行き違いをメールで修正することが難しく、結果的に相手と感情的にこじれてしまったという話が以前より増えているように感じています。

一般社団法人ビジネスメール協会は2007年以降毎年ビジネスメールの実態調査を行っています。有効回答数が毎年変動しますので、トレンドとして捉えることは難しいですが、興味深い結果が得られていますので、一部ご紹介しながらこのテーマについて考えてみましょう。

ビジネスメール実態調査2022:調査の概要より

①仕事上のコミュニケーション手段

 1位 メール 98.69%

 2位 電話 85.09% 

 3位 テレビ会議・ウェブ会議 79.76%

 

メールが仕事上のコミュニケーション手段の1位となったのは、同調査では2010年のようです。この年、「メール(95.12%)」が「会う(82.21%)」を大幅に抜いて1位となりました。「テレビ会議・ウェブ会議」は2020年調査結果時に大幅に増加し、今や代表的なコミュニケーション手段となりました。この10年、とりわけコロナ禍以降の激変が統計からも明らかですね。

②メールの1日当たり送受信本数

 

出典:一般社団法人日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2017~2022」、データを元に表を作成

 

 

 

 

この点でも、メールの1日当たり送受信がコロナ禍に入って急増している様子が伺えます。

2022年調査では、メールを読むのに平均1分24秒、書くのに平均6分5秒です。2022年の送受信本数で算出すると、1日平均でメールを読むのに93分、書くのに99分、合わせて3時間以上かかっていることになります。

③メールを巡る不安や不快

メールに不安を抱く人は7割を超え、その第一位は「正しく伝わるか」にあるといいます。また仕事のメールで不快を感じたことがある人は4割を超え、その第一位は「質問に答えていない」ことにあるそうです。質問のメールなのに答えをもらえないとするならば、そのやり取りはとてもストレスフルなものとなるでしょう。そのほか、不快な内容として代表的なものは、文章が曖昧、失礼、攻撃的、メールが読みづらいなどです。

メールというコミュニケーション手段の長所と短所

メールはコストがかからない、同時に大勢に送ることができる、検索ができる、履歴を追える、瞬時に届くなどが大きな長所です。

一方短所は、送信を取り消せない、誤字脱字のミス、読まれているかがわからない、ニュアンスが伝わらない、相手の心境がわかりにくい、文章が苦手な人がいる、などです。

メールはニュアンスや気持ちの理解には不向きなコミュニケーション手段であり、特にマイナス感情を文面にすると思わぬ誤解や行き違いを生むことがあるので注意が必要です。丁寧な文章で書いたつもりでも、「こんなこともできない」「ありえない」「何でちゃんと確認しないのか」などの言葉は読む方からすると大変きついものとなります。

ねぎらいや感謝の気持ちを添えた上で、問題を解決するために、どういう方法がとれるのか、本人の目線に立って共に考えようというメッセージが伝わるとよいと思います。

メールでもらったものはメールで返さなければいけないと思い込むと、ちょっとした気持ちの行き違いを修正するのに大変な労力を要し、その割に、結果としてはかえって誤解の溝が深まってしまうことが散見されます。関係性の修復には対面や電話といった直接コミュニケーションが適しています。

対面に代わるコミュニケーション手段が急速に広まりましたが、それらをどのように活用していくか、今なお模索しておられる職場が多いと思います。それぞれ一長一短ありますし、「対面の方がいい」、「メールやチャットの方がいい」など、人によって好みも様々でしょう。これらも働き方のひとつの選択です。多様な働き方を尊重しつつ、互いの信頼関係をよくしていくために工夫を重ねていきましょう。