コロナウィルスの終息の目途が見えない日々が続いています。

以前はあれほど成長にハングリーで積極的に人と関わってきた自分なのに、今は慣れないオンライン業務に戸惑い、人からの評価もみえにくく、すっかり自信を失って心も巣ごもりとなってしまった方も多いのではないでしょうか。

そんな思いをしておられる方に、これがお役に立つかなと思って、今回はERG理論についてお話します。

EGR理論の3つの欲求

心理学者のアルダーファーは、私たちの欲求について研究し、3つの欲求があると考えました。

①生存欲求(Existance):健康でいたい、安全・安心に過ごしたい、水や食べ物を得たい、賃金を得たい、安定した雇用条件を求めたいなど、生理的・物質的・社会的にベーシックな欲求

②関係欲求(Relatedness):家族や友達、上司や同僚、その他親しい人との関係性を維持向上したいという欲求。人からの評価や承認を求めたいという欲求も含む。

③成長欲求(Growth) :社会の役に立ったり、生産性に貢献したり、クリエイティブでありたいという欲求。人間的に成長したいという欲求も含む。

3つの欲求のそれぞれの頭文字をとってERG理論といいます。

ERG理論の特徴

ERG理論以前は、私たちの欲求は生理的欲求といった低次元の欲求が満たされて初めて帰属欲求や承認欲求などの高次元の欲求に向かっていくという「段階論」で考えられていました。

それに対して、アルダーファーは、私たちの欲求は高次元の欲求から低次元の欲求に変わることがあり、また同時に複数の欲求が生まれることだってあると考えました。

私たちへのメッセージ

目に見えないウィルスとの闘いが長期化し、日本経済も急速に冷え込んでしまいました。

自分や家族の健康を保ちたいという生理的な生存欲求に加えて、雇用の安定を求めたいという社会的な生存欲求を強く自覚する時期であるのはもっともです。

また同時に、職場の同僚や親しい友達と物理的に集うことが難しくなったことで、会いたい、しゃべりたいという関係欲求も高まっているのではないでしょうか。オンライン飲み会など新しいテクノロジーのお蔭で、関係欲求を満たす試みが急速に進展しているので、そう実感します。

成長欲求については、これまで自分がプランしていたステップで考えていくことは難しくなってしまったかもしれません。けれども、これまで経験のない環境下で働くことで新たに身につくスキルやノウハウもあることでしょう。

今、成長欲求が湧きにくいのは当然のことです。異次元の世界に身を置くことで、新しい価値観に目覚めるチャンスもあるでしょう。その時新たな成長欲求が出てきます。ERG理論でいわれているように、欲求は時々で巡り巡ってくるものだと信じて、焦らないで過ごしていきましょう。