時折肌に涼しさを感じる風に触れ、そういえばせみの鳴き声を耳にすることが減ったなと、季節の変わり目を実感するこの頃です。

公認心理師という国家資格ができ、私は昨年、数十年ぶりに受験勉強に取り組みました。長年産業臨床を専門にしているので、児童や高齢者も含む制度や法律の勉強など知らないことも多く、広範囲の学習や新しい科目に四苦八苦しました。

働き方改革で自分の時間が以前より増えて中高年から資格取得に励む方も多いと思われますので、今回は学習という観点から、古典的でかつ今なお妥当といわれるエビングハウスの忘却曲線についてお話します。

エビングハウスの忘却曲線

エビングハウスは19世紀のドイツの心理学者です。「子音、母音、子音」から成り立つ無意味な音節を実験の対象者に覚えてもらい、実験の後での記憶の再生率を調べる研究を行い、忘却曲線として提示しました。

この忘却曲線ですが、「時間ごとに忘れてしまう比率」を表したものと誤解された解説が非常に多くみられます。

正しくは、20分後、1時間後に同じことを覚え直す際に、どれほど時間を節約できるかという「節約率」を測ったものです。

例えば「むいき」「とあも」「つえろ」といった無意味な言葉の羅列を初めに覚えるのに10分かかり、20分後に覚え直すのに4分かかるとすると、初めに比べて6分節約したことになります。10分に対して6分節約したので節約率は60%となります。時間経過ごとの節約率は以下のとおりです。

20分後の節約率58%

1時間後の節約率44%

1日後の節約率34%

6日後の節約率25%

1か月後の節約率21%

忘却曲線と年齢

私にとって勇気づけられるのは、エビングハウスの忘却曲線は、60代と20代で差がないことです。学習面で重要なのは年齢を問わず復習だということをはっきりと示してくれる曲線なのです。

この内容から私自身のシニアの受験勉強として反省したのは以下の2点です。

①自分が知らない、聞いたこともない用語が出てきた時に「無意味な言葉の羅列」と感じてしまい、繰り返し覚えようとする意欲がわかなかったこと

②広範囲にわたる学習の復習の根気というのも今一つであったこと

この対策としては、

①学ぶものに自分なりに意味づけをすること

②受験勉強のモチベーションを維持し続けること

実はまた別の資格も目指そうと受験準備を細々始めていますが、正直今のところ、この反省が活かされていない、と反省しているところです、、、

私は新たな資格取得を目指しておられる方が多くおられることを励みに自分のモチベーションを維持していこうと思います。