現役引退を表明したイチロー、28年間の軌跡と共に、会見での発言にも大きな注目が集まりましたね。

私は、「後悔などあろうはずがない」と言い切ったうえで、「結果を残すために自分なりに頑張った」「これを重ねてきて、・・まあ、重ねることでしか、後悔を生まない、ということはできないのではないかと思う」との言葉に大いに驚き、またイチローだからこそと納得しました。

後悔とは

後悔とは「過去の行動や選択を変えることができれば、より良い成果が達成できたかもしれない」と思う時に起きる否定的な感情です。過去の選択や決定、それがもたらす結果と関連した感情である点が大きな特徴です。

後悔などあろうはずがない、って言い放ってみたいなあ~と思いますが、私たちの人生においては、小さな後悔から、長く苦しむ大きな後悔まで、むしろ身近な気すらしています。

後悔は悲しみ、罪悪感、恥や怒りといった否定的な感情を伴いますので後悔があること自体がいけないことと思いがちです。けれども、後悔するプロセスは人間だけが持つ、特有の高度の認知(対象を知覚した上で判断したり解釈する)処理で、長所も沢山あります。

後悔のポジティブな側面

そもそも、現実の状態を把握し(自分の選択や決定がどんな結果をもたらしたのか)、他の方策をとっていたらどうだったのか、可能性を想像する力がないと後悔は生まれません。この探索や分析、想像のプロセスを通じて、私たちは洞察力を高め、将来の選択や決定スキルを向上させたり、より望ましい、正しい行動に修正をかけたりすることができるようになります。

私たちの学習や成長にとって、後悔することは欠かせないものでもあるのです。

強い後悔、長引く後悔には気をつけよう

ただ、強い後悔、長引く後悔はメンタルヘルス面に悪影響を与える可能性があります。自分を責めすぎる(自分に優しくなれない)、完璧主義の傾向にある方は、繰り返し同じことを後悔し、そのことで将来の自分の決定や選択に自信が持てなくなったり、不安が大きくなったりするかもしれませんので工夫が必要です。

後悔は認知のプロセスから生まれるものですから、例えば当時の現実の状態を捉えなおし、「他には選択肢がなかった」、「良い選択を取ることが非常に難しい状況であった」、「選択や決定にかける時間がなかった」など、自分を許してあげる認知の仕方に少しでも修正してみましょう。

桜が丁度見頃を迎えましたね。どうぞ良いお花見を!