例年3月は自殺者が増える傾向にあることから自殺対策強化月間とされています。
平成30年の全国の自殺者数は20,598人(男性14,125人、女性6,473人)で9年連続の減少となりました。景気回復や自殺を防ぐ取り組みが減少に寄与しているといわれています。
統計をどう読むかは人により異なるところですが、9年連続減少と聞くと関心が薄らいでしまう懸念がありますので、今回は国際比較という観点を交えながら、私が気になっている点をお伝えします。
自殺死亡率の諸外国との比較
平成30年自殺対策白書などの資料によると、日本は以下の深刻な問題をかかえています。
①日本の自殺死亡率はリトアニア、韓国、スリナム、スロベニア、ハンガリーに次いで6番目に高い。
②男女別にみると、男性は12位に対して女性は3位(韓国、スリナムに次ぐ)であり、女性の自殺死亡率の高さが目立つ。
③年代別には若い世代の自殺の高さは深刻で、15~29歳の死因の1位は自殺となっている。この年代で自殺が死因の1位であるのは、先進国の中では日本、韓国だけである(他の国では事故が1位)。
自殺の原因別にみて気になる点
上記白書によると自殺の原因は「健康問題」が最も多く、次に「経済・生活問題」、「家庭問題」、「勤務問題」が続いてます。
「健康問題」、「経済・生活問題」を理由とした自殺はピーク時から減少が大きくなっている一方で、「勤務問題」、「家庭問題」を理由とした自殺は他の原因・動機に比べてあまり減っていないことが指摘されています。
「勤務問題」がどのような例なのかは不明ですが、ハラスメントや過重労働の問題など、職場における人間関係やマネジメントの問題に起因しているものなのかもしれません。
3月は進学、異動、転居など大きな環境変化を迎える時期です。新しい環境に慣れるまでの間、色々な問題や課題に遭遇しやすい時期ですので、職場やプライベートの関わりの中で、気になる方がおられたら、そっと声をかけてあげてください。サポートを求めたくても自分からは求められない方は多いものです。