嵐が2020年末で活動を休止するという突然の発表は衝撃的でしたね。国民的アイドルとしてこの先も活躍するのが当然と思っていました・・・
嵐ファンにとっての心のプロセス
昨年の観客動員数が89万人、ファンクラブの会員数はネット情報では240万人とのことですから、親子、あるいは3世代、そして海外の嵐ファンも多いことでしょう。
20年という長い活動を熱烈に応援してきたファンの方々にとっては、来年末に訪れるであろう大きな喪失に向けて、この心をどのように収めていけるのか、今からとても不安だろうと思います。何といっても、今はショックでうろたえ、ワイドショーやネット情報を隈なく検索したり、心ここにあらずという方も多いだろうと思います。
キューブラー・ロスはドイツの精神科医で、大切な対象の喪失から自らを取り戻すまでには5つの段階があると考えました。この5段階を知っておくと、自分の心がどう変化していくのかを知ることができますので、今回は嵐ファンの心理となぞらえて説明します。
キューブラー・ロスの喪失の5段階
1 否認 心が衝撃を受けた時、その衝撃で心が壊れてしまわないように、心はその気持ちを感じさせなくするか、その出来事がなかったことと認識します(これを心理学用語で「否認」といいます)。「活動休止の発表はあったけれども、何かの間違い。撤回される可能性もあるんじゃないか」と疑う気持ちです。ニュース直後ですから、多くの皆さんは今この段階にあると思います。
2 怒り 時間がたってくると「どうしてそうなったのか?」「ほかに方法があるのでは?」と事実を究明しようとする気持ちがわきます。「何故活動を続けてくれないんだ」、「私をどうしてくれるんだ」と嵐に対して怒りが向いたり、「周りの人は何故反対しないんだ」と、ほかの人を責めたり、あるいは「あれほど好きな嵐の決断に優しくなれないなんて」と自分を責めたりします。この時期は怒りの他にもショック、悲しみ、混乱など色々な気持ちが湧いてきます。
このような負の気持ちは私たちを苦しめ、こらえきれずに人に八つ当たりしてしまったり、些細なことで喧嘩したりと行動にも表れることがありますが、抑え込んできた感情が出てくることはプロセスの一つとして大事なことと考えられています。
3 取引 「何でもしますからどうぞ助けてください」、「活動休止だけは勘弁ください」と喪失と引き換えようとする動きです。しかし、いくらそれをしても喪失という事実が揺らがないということを徐々に気づいていきます。
4 抑うつ もうどうやっても事実が変わらないと知る時、心にぽっかり穴が開き、無気力で何もしたくない、むなしい、孤独を感じていきます。愛した対象であればあるほど、この落ち込み、虚無感は大きなものとなることがあります。
5受容 霧がかかったような閉ざされた心の中で過ごしている時間は人それぞれですが、ある時、大切な人が自分に与えてくれてきた愛情や勇気に気づき、その気持ちとともに喪失を少しずつ受け入れていくこととなります。しかし、受容していくことは非常に時間のかかるプロセスとなります。
この5段階は、人によってこの順番で来るとは限らず、行き来するものですし、回復までに要する時間も人それぞれです。自分自身のためのプロセスと思ってください。
活動休止までの月日の意味
嵐が活動を休止するまでの2年近い月日は、やがて訪れる喪失の衝撃を和らげるものであるとともに、こうした喪失のプロセスを嵐と共にゆっくりと、丁寧に、そして温かく促す時間と考えてよいでしょう。
またこの月日は、メンバー一人一人にとっても新たな人生に踏み出す転機のプロセスとなります。これまでの活動を集大成するとともに、新しい自分にチャレンジし、方向性を模索し、一定の方向付けを見出す期間となるでしょう。
嵐と嵐ファンの皆様にとって、これからの月日がこれまで以上に素晴らしく輝いていくようお祈りします。