かなりローカルな話なのですが、東京・日本橋高島屋エリアの再開発で、グロウマインド近くの景色がどんどん変わっています。建物は完成し、先日植栽の光景を見ました。写真に収める機会を逃しましたが、大型クレーンがどこかの山から切り出された大木を、用意された穴に植え込んでいく様は圧巻です。

大木の植え替えと中年期の転職

かろうじて撮影したのはこちらの新設出口付近の写真。下手ですみませんが、お伝えしたいのは、大木を植え替えるにはこれほど周囲の支えや保護といった環境整備が必要ということです。これを見ていて、中年期の転職者から、「転職先の環境に馴染めない」というご相談がとても多いことを思い出しました。

”転職後の環境に馴染めない”感覚の背景には、どうして転職するに至ったか、どんな転職プロセスを経たかなど、様々な要因が関係していますが、問題をコンパクトにとらえるために、大木で言えば「植栽」という部分に該当するところに限ってお話します。

植栽は、その建物や環境にふさわしい、あるいは適した木の種類の中から、木の樹齢や形、予算など様々な検討を経て行われることと思います。選ばれた木の方はこれまで育った環境を離れ、景観を印象付けるものとなることを期待されるわけですから、大変なプレッシャーだろうと思います。

それと同様転職は、即戦力で、特にこのようなスキルセットをと、厳選して選ばれるプロセスですので、採用される方のプレッシャーというのは、まあ大変なものです。

最近は異業種からの転職や中小企業から大企業へという道も増えてきました。

転職者の悩み

転職者の悩みを聞いておりますと、転職者も周囲の人も、「即戦力での活躍」という漠然とした言葉の中に高い期待とプレッシャーを込め、時に苦しんでしまう印象を受けることがあります。どんなにポテンシャルや実績の優れた方でも、新しい環境でパフォーマンスを上げていくためにはやはり3か月~半年は少なくともかかるものです。

「スキルアップを狙って転職したが、使われているシステムが旧式かつ複雑で、パフォーマンスを上げにくい」「小さい企業からの転職で大企業特有の他部門との根回しのカルチャーがわかりにくい」「求められるスキルが、自分が今持っているものと実際にはだいぶ違っていた」など、新しい企業の“土壌”との違和感はしばしば話題になります。これは転職プロセスでは得られない情報で、実際に土壌を見て初めて分かる類のものなのです。

土壌に馴染むためには

土壌を見て、あれ?おや?と思うこころの反応は当然で、まずは土壌と自分の“しっくり感”を醸成することが大事です。

そして、その際には写真の植栽に見られるような、周囲による支えが肝心です。周囲のサポートの乏しいケースでは転職者の孤立化を招き、モチベーションや生産性の低下を招いてしまうことがあります。

いつでも困ったことがあったら本人が相談しやすい環境を用意すること(写真の支えほどがっちりではないかもしれませんが)、そして転職者自身も、「即戦力」という漠然としたプレッシャーはしばし棚に上げて、まずはその土壌でしっかり根を張れるよう、周囲に上手にサポートを頼むことが大事です。

大木が生い茂るために

中年期サラリーマンの皆様を見ていると、困ったことがあっても人に言えないという方が、とても多いことを感じます。上手に適応していく方を見ると、キーパーソンを見つけて上手に相談し、必要なことを吸収していきますので、どう自分を変えていけるのかが課題なのだろうと思っています。

都心にやってきた大木が見事に生い茂っていく様を楽しみにしたいと思います。

中年期で転職を経験した皆さま、是非頑張ってください!