電車の発車メロディのプチ歴史

発車の合図は、国鉄開業当初は太鼓で、その後、鐘、金属ベルと変わりました。

金属ベルの音が不快で人を焦らせるとの反省があって30年ほど前から、人の心を落ち着かせる目的で現在のメロディの導入が始まったとのことです。

30年ほど前と言えば、ちょうどバブル期の絶頂から崩壊にかけてですね。通勤に向かう人々は大変なストレスを抱えていた時代ですので金属ベルの音は一層不快なものと受け止められていたと思います。

世界の発車ベル?

JRでの通勤や通学を30年くらいしている方は発車メロディが当たり前の時代におられますが、実は発車ベル・メロディは他国では殆ど例がないようです。ネットで調べますと、ベトナムのいくつかの駅で発車ベルがある程度とか。

私もヨーロッパやアメリカで電車のドアが突然閉まるのには、初めは非常に驚きました。電車はよく遅れますし、本数も少なく、日本のように時刻表が張られたりしていないので、いつ着いてどれくらい停車して、出発するのかさっぱりわからないことがよくありました。

発車ドアの閉め方に見るカルチャー

欧米では個人の行動は個人で管理するものだという考えがあり、また、私の推察ですが、車掌さんのジョブディスクリプション(職務記述書)は、おそらく“時刻通り電車を走らせる”ことであり、“乗れそうな人がいれば乗せてあげる”のは職務外なのだろうと思います。

初めは音のないホームや突然閉まるドアが少々怖く感じられましたが、慣れるとホームは静かですし、かえってこころが落ち着く気がしました。

おそらく日本においては顧客の安全第一という考えで、状況に応じて判断が微妙に変わるのだろうと思います。顧客もそれをわかった上で駆け込むのでしょう。

電車のドアの閉め方にもカルチャーの違いを垣間見るように思います。

日本でも千葉駅が本当のサービスは何かという観点から静かな駅を目指して1998年より発車予告ベルを廃止しているそうですね。

新しい元号、新しい時代に向けて、当たり前となっていることをもう一度考え直す流れが来ているのかもしれません。