裁量労働制に関して、安倍総理が根拠とした厚生労働省のデータに誤りがあり、調査の結果新たに117件のデータの誤りがあった「事件」、    正直私自身、大変衝撃を受けています。

といいますも、メンタルヘルスやハラスメント等の研修では“厚生労働省調査が最も大規模で信憑性がある”と考え、頻繁に公表されるデータや 研究をチェックし、引用してきたからです。

ハロー効果

ある対象を評価する際にある顕著な特徴にひきずられて他の特徴が歪められる認知のバイアスをハロー効果と言います(halo effect)。ハローといっても、挨拶のハロー(hello)ではなく、後光(halo)という意味です。

私の場合は厚生労働省という”名称”をみて“信憑性がある”という認知のバイアスが生じたことになります。

ハロー効果のバイアスに要注意

ハロー効果は、太古の昔、敵か味方かを一瞬で判断しなければ生死にかかわるという中で、物事の 一面を見て瞬時に判断する能力を人類が身につけ、遺伝的に引き継がれたものと考えれています。 その判断が当たった時には良いのですが、外れた時は致命的な結果をもたらします。

今なお、短い時間で瞬時に判断していかないといけないような場面や状況は、ハロー効果が外れた時のダメージには要注意です。

裁量労働制を拡大したいという総理の意向と、厚生労働省のデータ作成の問題をハロー効果で考え直してみましょう。

「厚生労働省のデータなら信頼できる」という総理側の厚生労働省に対するハロー効果に加えて、もしかしたらデータ加工に際して“裁量労働制の方が労働時間は少なくなる“という総理の意向を反映した厚生労働省側のハロー効果もあったのでは?そんなことを憶測してしまうエピソードです。双方とも非常に忙しい中で働く立場ですから、こうしたバイアスに陥る可能性は高いと考えられます。

ハロー効果には良い印象がもたらすハロー効果(あばたもえくぼ)と、悪い印象がもたらすハロー効果(坊主憎けりゃ袈裟まで憎い)があります。これを機会に厚生労働省は坊主憎けりゃ・・・の対象になってしまうのでしょうか。働き方改革の旗振りとして頑張ってこられた役所ですから、失われた信頼を早く回復してもらいたいと願います。