働き方改革で残業が減り、自分のための時間を資格取得や語学の習得に充てている方も多いでしょう。

 キャリア発達上の中高年の課題

ドナルド・スーパーのキャリア発達理論によると、中高年は(キャリアの)「維持期」に当たります。この時期は、キャリアを維持していくために、最新のスキルやノウハウを身につけ、自らを革新することが課題です。

「維持」と聞けば、受け身で、ただ保っているだけ、と思うかもしれませんが、保つためには大変な努力が必要だと、すでに半世紀以上も前にスーパーは考えていたのです。

学ぶのに遅すぎることはない

学ぶのに遅すぎることはない(It’s never too late to learn.)という英語のことわざがありますが、私がアメリカの大学院に入った時に非常に驚いたのは、60代のクラスメイトです。年齢だけ考えても難しいであろうに、彼女には重度の視覚障害がありました。私の学科には教科書の点字訳が用意されていて、彼女は、厚みが30センチもある重たい点字の本を携え、白髪のご主人のサポートを得て授業を受けていました。彼女の学ぶ意欲はもちろん、彼女をサポートする環境にも感銘し、大いに励まされたものです。

ある年齢に達してから、ゆっくり時間をかけて勉強してみると、若い時には気づかなかった発見があり、また人生経験豊かですから理解に深みも加わって、より良い学習となる可能性があるように私は思っています。

中高年は、キャリア面でも健康面でも個人差が広がっていく世代です。色々な制約はあるにせよ、ちょっぴり何かに挑戦して、心身の若さを保っていきたいものです。