北朝鮮の動向、米朝の緊張、国内の総選挙など、政治の動きに目が離せないこの頃です。
集団浅慮とは
集団浅慮は、集団が意思決定をする際に、誤った判断、質の劣った判断・決定などが導かれる現象のことです。この概念を提示したのは心理学者のジャニスで、アメリカの政策決定において、大統領とアドバイザーたちで構成される集団が判断を誤った事例を検証し、その特徴と徴候を明らかにしました。
集団浅慮が起こりやすい集団の特徴
- 団結力が強い
- 手続きの規範が乏しい、メンバーの公平な発言機会が乏しいなど組織上の欠陥がある
- 外部からの強い脅威がある
- 排他的集団である
集団浅慮が始まる兆候
- 集団に対する過大評価がある:「われわれが失敗するはずがない」「われわれこそが正しい」
- 閉鎖的心理状態:「状況は我々に有利だ」と不都合な情報を無視する
- 集団に同調することへの圧力:「集団から外れてはいけない」「皆同じ考えに違いない」
欠陥のある決定の兆候
- 代替案を十分精査しない
- 少数意見・異議・反証を抑制する
- 外部の意見を聞かない
- 情報の偏りと偏見がある
あれやこれや、心配となる国家や集団がいくつも思い浮かぶことでしょう。 集団浅慮は、政治面ばかりでなく、企業の不祥事など、経済面も含む様々な場面で起こります。集団による誤った判断や決定は私たちの暮らしに大きな影響を及ぼします。一個人としてできることには限りがありますが、多様な情報を集めることが集団浅慮の予防と言われていますので、普段から、自分の関わる集団にこうしたリスクが潜んでいないか、客観的に検証していきたいものです。
参考)集団行動の心理学 本間道子著 サイエンス社
人間理解のグループ・ダイナミックス 吉田道雄著 ナカニシヤ出版