コロナ禍での、3度目の年度末を迎えています。
思い起こせば、おととしの今頃はまだオンライン対応が十分ではなく、新入社員研修が直前となって急遽中止となって育成が上手く出来ず、悩んだ企業が多かったと思います。
その後オンライン対応が徐々に進み、昨年は新入社員研修をオンラインとする対応を早々に決断なさった企業が増えました。
オンライン研修のメリットと共にデメリットも実感しながら迎えるこの年度末です。オミクロン型のまん延により、新入社員研修を対面とするのか、オンラインとするのか、今なお手探りの企業も多いことでしょう。
在宅勤務や交代勤務のために同僚と直接話す機会は減り、出勤としても以前のようには雑談や会食で打ち解ける機会が持てなくなって、ソーシャルディスタンスが互いの心の距離にも響いていることを実感する日々です。
同僚へのサポートに心を砕いてくださる方からは、「こうした状況だからこそ、少しでもより良いサポートとしたい」という声が寄せられます。
そこで今回は、皆さんが何気なく行っているサポートをより豊かなものとするものとして、ソーシャルサポートについてお話しします。
ソーシャルサポートとは
ソーシャルサポートとは、社会におけるつながりの中でもたらされる、精神的または物理的な支援のことを言います。
社会におけるつながりとしては、例えば家族、友人、交際相手、同僚、地域があり、ペットも含まれるようです。自然に行われるサポートもあれば、冒頭に述べたような新人育成プランに基づく職場のサポートや福祉によるケアなど、フォーマルに行われるものもあります。そして、対面のサポートと同様、オンラインのサポートも重要な資源となります。
ソーシャルサポートには多岐に亘る実証研究があり、以下のような効果があると言われています。
①ストレスを緩和する
②うつなどの精神疾患の予防となる
③免疫システムに良い影響を与え、心臓疾患などの身体疾患の予防につながる
何気ない日々の互いのサポートは、私たちの心と体を活き活きとしたものにしてくれているのです。
ソーシャルサポートの種類
さてここから、何気ない日々のサポートについて、より詳しくみていきましょう。
ソーシャルサポートには以下の4つの種類があります。
①情緒的サポート:共感、信頼、受容、励まし、気遣いなど情緒面のサポート。本人が「自分が受け入れられている、価値がある」と感じることを助ける。
②道具的サポート:金銭を援助する、物理的に道具を与える、便利なツールやサービスを提供する、実際に手伝うなどのサポート。本人にとって具体的、直接的なサポートとして役立つ。
③情報的サポート:助言や提言、役立つ情報を与えるサポート。本人が問題を解決することに役立つ。
④評価的サポート:パフォーマンスや資質についてのフィードバックを与えるサポート。本人が自分を評価したり、その状況を評価したりすることに役立つ。
さて皆さん、普段、あまり意識せず、状況に応じてサポートを与えていると思いますが、4つの種類を見てみて、自身のサポートの種類に偏りはありませんか?
より豊かで厚みのあるソーシャルサポートとするために
理詰めの方は情緒的サポートが苦手かもしれません。一方、情緒豊かな方は問題解決につながる情報的サポートが苦手だったりします。自他ともに厳しい方は、人の手助けを得たり与えたりすること自体に抵抗があるので、どの種類のサポートも少ないかもしれません。
普段あまり使っていないサポートがあるようであれば、是非今の時期から少しずつ意識してみてください。
日頃のフレーズにちょっと一言添えるだけでよいのです。良いお見本は銀メダルを獲得したカーリング女子のフレーズ、「そだねー」、「ナイス!」、「上手!」です。ビジネスにそのまま転用するわけにはいきませんが、こんなポジティブな一言でソーシャルサポートのレベルがアップするのです。
新入社員や異動に伴う交代など、これから新しい人間関係が始まる時期となります。状況によってサポートを使い分けていくことになりますが、4種類をちょこちょこ、満遍なく使えるようになれば、なお豊かで厚みのあるサポートとなるでしょう。
引き続き不透明で変わりやすい状況の中に身を置いていかなければいけません。意識してソーシャルサポートを高めていきましょう。