フィギアスケートは4回転ジャンプを何本も決める大技勝負の時代となりました。その中で坂本花織選手は、大技を追求するのではなく、技のひとつひとつの出来栄えにこだわる戦いを選んだといいます。

丁寧で安定感があり、美しく、かつ力強い演技でしたね!大技を1本決めれば一挙に高得点となる選手に比べて、坂本花織選手の演技の得点は少しずつしか数字が動かないので心配しましたが、じわじわ得点を重ねて銅メダル!私は「こういう勝ち方があるんだ」と驚き、かつ勇気をもらいました。

サラリーマンの世界も、ある意味“ピョンピョン飛んだり跳ねたり”する人が評価されやすくなったように感じます。「詰めに甘さはあるがプレゼンがうまい」、「面倒な作業には手を染めないのに仕上がりが近づくといつの間にか先頭に立ち、仕切っている」、こうした要領のよい人は、職場で目立ち、何かと高い評価を受けやすいものです。

一方、目立たないけれど、ミスがない・安定感がある・指導がうまい・判断力がある等の資質をあわせ持つ方も、職場で確かな評価を得ています。このタイプが「仕事の出来栄えの高い人」となると思います。

私達はどうしても目立つ人に目が向きやすいので、その人と比べて自分が劣っていると感じてしまいがちです。しかし、職場は様々な個性の集合体です。坂本花織選手の戦略のように、自分の個性に応じたパフォーマンスの高め方を追求していけばよいのです。

前回のコラムのスキージャンプも、今回のフィギアスケートも、採点基準が仔細に亘って年々変わるので、戦略もそれに応じて変える必要があります。ビジネス界も同様です。

目まぐるしく変化する環境への適応力を高める術として、”大技はないけれど、基本をしっかり押さえ、出来栄えの良いスキルを沢山持っていることが重要”と、坂本花織選手が示してくれたように思います。

様々な感動に沸いた冬季オリンピックも終わってしまいました。夏冬とオリンピックが開かれたことは、結果的にコロナ禍で沈む私達の気持ちを大いに支えてくれたように思います。

冬季パラリンピックが始まるまでの間目先の目当てが無くなり、「オリンピックロス」に陥らないよう、お気をつけてお過ごしくださいませ。