この年末は、ショッピングや飲食を楽しむカップルや家族連れで東京駅周辺は大変な賑わいです。

かつての光景が戻ってきたというよりも、オミクロン型の流行が近づき、今のうちに楽しんでおきたいという人々の気持ちの表れのように感じています。

新しい生活様式の中で社会的距離を取ることとなり、最も難しくなったことの一つは「寄り添う」ことです。

「寄り添う」とは「もたれかかるようにそばに寄る」ことです。物理的に寄り添うこと以外に、人の気持ちに共感し、こころに寄り添う意味でも用いられます。

物理的にそばに寄っていても、こころに寄り添ってもらえなければ、かえってプレッシャーや疎外感となります。こころに寄り添ってくれたとしても、長いこと物理的に会えないのでは寂しさや不安が募ります。「寄り添う」ことは、物理的、精神的、双方の支えの上に成り立つものだと、物理的制約が露わになったことでしみじみ感じます。

私自身は長年にわたって対面での面接を主軸に心理相談に携わってきました。昨年から取り組み始めたウェブ面接は今なお「寄り添っている」感じを持ちにくく、引き続き試行錯誤が続いています。入室から着席の様子や話を始める時のちょっとした息遣いなど、物理的な空気の流れや音の振動なども「寄り添う」感覚を得る上で重要な手掛かりであったことを実感する日々です。

物理的に会えない分、ウェブ面接やSNS、メールなど様々な手法が急速に広まりました。無料通話や電話にもまた良さがあり、ウェブ面接の代わりに久々に長電話を楽しむ人も増えたことでしょう。

新しい手法に習熟していくことによって、「寄り添う」感覚が形を変えても身についていくものなのか、私自身の来年以降の課題です。

皆さんも、今年一年、社会的距離を取りつつ人との関係をどう取り持っていくのか、試行錯誤してこられたと思います。コロナ禍の終わりが見えない中、互いに寄り添って支えあい、生きていくことが私達には必要です。来年はもっと上手に寄り添えるよう努めていきたいものです。小さなストレスが日々積もってこられた1年であったことでしょう。

どうか年末年始のお休みをゆっくりとお過ごしになり、良いお年をお迎えくださいませ。