緊急事態宣言が久々に解除され、在宅勤務から元の出勤スタイルに戻っていく方も多いことでしょう。
多くの企業の皆様が、コロナ禍で職場におけるコミュニケーション全体が減ってしまったと述べています。
この先、人との接触が回復していく中で特に気を付けたいのが、私たち皆が大なり小なり持っているバイアス(歪み)です。
今回は人の評価に影響を及ぼしやすいハロー効果(後光効果)についてお話しします。
人の持つバイアス(歪み)
バイアス(歪み)というと、ネガティブな印象を持つ方が多いと思います。
しかし、バイアスは大切な役割も担っています。
私たちの脳にはキャパシティがあるため、①周囲の無数の情報の中から抜粋して知覚する、②知覚された情報に基づいて物事を理解したり判断することで素早く物事をとらえたり、判断する必要があります。バイアスはこの点で役立っているのです。ただし、得られる情報が少なかったり、追いつめられたり難しい判断を迫られる状況にあったりするとバイアスは大きくなる傾向があります。
ハロー効果(後光効果)
ハロー(halo)とは、聖人の背後に描かれる後輪のことです。ハロー効果とは、その目立つ特徴によってその人全体の評価を誤ってしまうというバイアスのことです。
古くから認められるバイアスでしたが、1920年、アメリカの心理学者のソーンダイクが心理的評価における誤りついて実証研究を行い、認知のバイアスの一つとして初めてこの言葉を使いました。ソーンダイクは、個人の好みや先入観、信条などが評価の誤りに反映されると考えました。
ハロー効果にはポジティブ・ハロー効果とネガティブ・ハロー効果の2種類があります。
①ポジティブ・ハロー効果
一つの優れた特徴を見て、他の面でも優れていると判断するものです。肩書や経歴で過大評価をする、目立つ人を仕事が出来る人と誤解する、好感度の高い人の発言を信じやすい、などが例です。一見すると害のないバイアスのように見えますが、職場においてはえこひいきと言われかねず、周りの人のモチベーションを阻害する可能性があります。
②ネガティブ・ハロー効果
一つの側面の評価が低いことによって他の評価も劣ると判断するものです。反論する人は生意気だ、残業しない人は仕事に不熱心などが例です。他の優れた側面が見落とされてしまうことが大きな損失です。
私達が持つバイアスの大きさに気を付けよう
対人接触が極力避けられるようになり、限られた情報でやりとりをするしかなくなったことに加え、私たち自身が引き続き、難しい状況の中で生活していかなければいけないため、私たちのバイアスは大きくなりやすい状況です。
また、緊急事態宣言の解除で職場に戻る人と在宅勤務を続ける人とが混ざり合うことになる職場においては、職場か在宅かの違いが評価のバイアスに影響することがないよう、注意が必要です。
バイアスのかかった自分の言動によって周囲の人のモチベーションを下げないよう心がけましょう。