ワクチン大規模接種センターが今日から東京、大阪で始まりました。高齢のご家族のおられる方は、接種の予約がなかなか取れず、様々な混乱があってイライラすることが多いことでしょう。
また、64歳以下の方たちにとっては接種プランは不確定ですので、いつになるかわからない接種を待つのもストレスフルなものです。
少しでも待ち時間を楽に過ごせるように、待ち時間の心理についてお話します。
「待ち時間の8つの法則」
デビッド・マイスター氏は、ハーバードビジネススクールの元教授であり、作家でありまたコンサルタントとしても有名な方です。
1985年に「待ち時間の心理学」という論文で8つの法則について述べ、銀行や病院、テーマパークなど様々な場面でのカスタマーサービス向上のヒントとして活用されてきました。法則と、法則に沿ったアイデアは以下のとおりです。
法則1.何もしない待ち時間は長く感じる
・お客様の待合エリアにテレビや雑誌などを置く。
法則2.本来のサービスの前後の待ち時間は長く感じる
・レストランでお客様が着席したらまずメニューを配る。
法則3.不安があると待ち時間を長く感じる
・待っている間に従業員がお客様に声をかける。
法則4.不確定な待ち時間は長く感じる
・あと何分で次の電車が来るかを表示する。
法則5.理由のわからない待ち時間は長く感じる
・電車の遅延の理由を説明する。
法則6.不平等な待ち時間は長く感じる
・用件内容により待ち時間が違うことを予め知らせる。
法則7.待ち時間に価値があればあるほど長く待つことができる
・人気店に入るために待つのは苦でない。
法則8.一人で待つ時間はグループで待つ時間より長く感じる
・待合室でしゃべりながら過ごす。
ワクチン接種の日までの待ち時間のストレス軽減に向けて
ワクチン接種の日までの待ち時間のストレス軽減にも、これらの法則が役に立ちそうです。
まず、接種票が手元に来れば、ワクチン接種のプロセスに乗ったことがわかりストレスが少し減るでしょう(法則2)。また家族や知人とワクチン接種を巡る様々な不安について話したり、何か他の事をしながら待つことは有効でしょう(法則3、1)。
ワクチン接種時期の地域間格差についての情報は不平等感をあおるので、比較しないで過ごしましょう(法則6)。注射は嫌ですが健康へのメリットという価値が大きいと考えましょう(法則7)。国民皆の共通の話題なので、一人で思い悩むより、おしゃべりしながら待つ(法則8)のがよいでしょう。
こうみてくると、足りないのは法則4と5、すなわち、不確定と理由不明の曖昧さを減らすことです。65歳以下の人も含めてワクチン接種の今後の本数の見込みとスケジュールを確定し、ワクチン輸入状況の説明や目途を示すことが方策となります。
でも、これって、基本的・最低限の情報ですよね。困ったことです。
仕方ない、不確定と曖昧さの中、知恵を絞ってしのいでいきましょう。