最年少、14歳のプロ棋士藤井四段の連勝、素晴らしいですね。小学生たちが藤井四段に憧れ、熱心に将棋を学んでいる姿を見て、久々にバンデューラ(1925~)のモデリング(観察学習)理論を思い出しましたのでご紹介します。
バンデューラのモデリング(観察学習)理論
バンデューラ以前、学習は直接経験することを通じて行われると考えられていましたが、バンデューラは、人を介して社会的な行動を学習する過程もあると主張し、モデリング(観察学習)の過程を明らかにしました。
モデリング(観察学習)には次の4つの過程があります。
- 注意過程:観察者がモデルの行動に注意を向ける過程
- 保持過程:観察したことを記憶として取り込み、保持する過程
- 運動再生過程:記憶しているモデルの行動体系を再生する過程
- 動機付け過程:これら3つの過程を動機づける過程
先の将棋を例にすれば、①小学生が藤井四段の対局や行動に注意を向け、②そこで観察したことを記憶に取り込み・保持し、③自分の対局においてそれを活かし、④藤井四段のようになりたいという高い動機で行動が持続する、となります。
サラリーマンの世界
さて、サラリーマンの世界はどうでしょう。特に若い社員にとって、素晴らしい先輩社員を介したモデリングにより成長できるならば本人にとっても組織にとっても嬉しいことです。そして先輩社員もまた、モデルとなるようなパフォーマンスを示すことが自信となり、成長をけん引します。身近なところでこうしたWIN-WINの構図がある職場は活気があり、生産性も高いことでしょう。
しかし残念ながら、モデルとなるような先輩がいない、自分なんて若手のモデルになんて到底なれないと感じている人も少なくなりません。
同じ職場でも仕事に対する考え方や価値観は、世代の違いももちろんですが個人差が非常に大きいものです。加えて小さな職場ではなかなか自分の考えや価値観にあった人を見つけることも難しいでしょう。
こんな時は環境を恨んでいても始まりません。一人の対象に絞り込まず、カスタマー対応は誰、知識やスキルは誰と、目指したい項目に焦点づけてモデルを探すのも一案です。長いキャリア人生ですから、いつか、何かのきっかけで、この人は素晴らしいと思える人に出会っていくことでしょう。あるいは気づけば自分自身がそんな人になっているかもしれません。
それにしても卓球もしかり、次々と繰り出される若手の快挙、素晴らしいですね。ビジネス界も是非若手が存分に活躍できるようになってもらいたいものです。