初めて在宅勤務を経験してみて、家にいながら仕事とプライベートを切り替えるのが思ったより大変と感じた方、いらっしゃいませんか?

働く人のワークライフバランスは、これまで「いかに仕事を家に持ち込まず、オンオフ切りかえるか」が中心でした。在宅勤務という働き方が急速に広まり、「家に仕事を持ち込む中でどうやってオンオフを切りかえるか」というワークライフバランスの新しい課題が見えています。

今回は、厚生労働省の「令和元年労働経済分析」の中で、仕事と余暇の時間の境目の管理について分析している箇所が見つかりましたので(第2-(3)-32図)、一部のデータ*を抜粋し、私なりに考えてみたいと思います。

*労働政策・研究機構が2019年3月、正社員16,752件の回答を得た調査を元に厚生労働省が分析したものとのことです。

仕事と余暇の時間の境目の管理に関する2019年調査

1)「仕事と余暇の時間の境目を管理できている」と思っている人の比率

「仕事と余暇の時間の境目の管理の成否にかかる社員の所感」といういささか堅苦しい問いなのですが、「いつも出来ている」、「どちらかというと出来ている」と答えた人が全体の71.1%、「いつも出来ていない」、「どちらかというと出来ていない」と答えた人が全体の28.9%でした。

2)境目を管理できている人が心がけている取り組みの内容

回答率の高い順のランキングは以下の通りです。

1位 家族や恋人と過ごす 58.2%
2位 趣味活動をする 53.3%
3位 一人の時間を過ごす 30.8%
4位 仕事に関係しない人物と交流する 26.6%
5位 余暇時間に仕事が気にならないよう、計画的に業務処理する 17.6%
6位 普段からプライベートの話を職場で出来る人間関係を構築する 15.6%
7位 自己管理力を高める  9.4%

withコロナ時代のライフワークバランスの難しさ

さあ、この結果は、withコロナ時代にどうなっていくのでしょう。私は「仕事と余暇の時間の境目の管理が難しい」と感じる人は当分の間は増えるのではないかと思います。人々がオンオフの境目の管理のために取組んでいる事柄の多くはwithコロナ時代には難しくなりそうだからです。

例えば、

1位の「家族や恋人と過ごす」は、単身赴任の方にとっては自宅との行き来が困難となり、また恋人と以前のようには会えなくなっている方も多いことでしょう。家族と過ごすにしても、家族皆が毎日べったり家にいると、仕事に集中できないということもあるでしょう。

2位の「趣味活動」は、スポーツや旅行、映画など、人が集まる趣味は当分難しくなりました。気分転換のための新しい趣味を見つける必要がありそうです。

3位の「一人の時間を過ごす」も、時折一人の時間があることがよいのであって、いつも一人では孤独感を深めてしまいます・・・

4位の「仕事に関係ない人との交流」」も難しくなりました・・・

これまで出来ていたことが出来なくなる、難しい時代となりましたね。さて、これからどのように仕事と余暇の時間の境目を管理していけばいいでしょうか?

withコロナ時代に心がけたいこと

私はむしろ、5位以下の項目こそ、今後、在宅勤務ベース働く上での境目づくりに役立つと思います。

計画的に仕事をする、プライベートの話もできる良い職場の人間関係を築く、そして、とりわけ重要なのが自己管理力の向上です。

朝玄関のドアから出る動作によって仕事モードに変わることも、夕方職場を離れる動作によってプライベートモードに変わることも、在宅勤務ではできません。

自己管理力の向上に取り組む人はわずか9.4%でした。自分を上手く管理し、仕事モード、プライベートモードに切り替えていく工夫をしていきましょう!