第100回の「マインドストレッチ」をご覧くださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスの拡大に伴ない、リモートワークの急な開始、大切なイベント・出張の中止・延期、突然休校となった子供たちのケア等々、急激な環境変化を日々手探りで過ごしておられることと思います。

特にチームの中でリーダーとしての役割を担う皆さんは、自分の状況も抱えつつ、部下や後輩をケアし、業務の遂行や生産性の維持向上に努めておられ、これまで以上に、そして、これまで経験のない負担をお感じのことと推察します。

今回は、混沌に陥ったチームが再び成長していくためには、どんな点に留意が必要か、社会心理学者のジャック・ギブのグループ成長理論に基づいてお話します。

4つの懸念

ジャック・ギブは、グループが混沌とした状況から抜けていくにはメンバーが抱く次の4つの懸念を払拭することが大事だと考えました。

①受容の懸念:自分は何者なのか、メンバーの一員として受け入れられているか

②コミュニケーションの懸念:こんなことを言っても大丈夫か、どう振舞えばいいか

③目標に関する懸念:チームは今何をしようとしているか、自分はどう(何を)したいのか

④統制・リーダーシップに関する懸念:誰のいうことに従えばよいのだろうか、どのように統制がとれるだろうか

チームメンバーの反応

緊急事態へのチームメンバーの反応は区々です。

チームの中の自分という存在についての認識が変わらない人もいれば、急なリモートワークで疎外感を感じたり、突然のキャンセルで仕事が減ってしまったことで「自分の仕事には価値がない」「自分が大切にされている感じをもちにくい」という人もいます。

また、コミュニケーションの機会が減り、リモートワークの場合は相手の反応やニュアンスを読みづらいこともあり、自分の発言や成果が適切だったか、要求されたことに応じているのだろうか、何を求められているのだろうかと、コミュニケーションを巡る不安が増えることもあります。

チームの成長のために

ジャック・ギブは、多数のチームの分析を通じて、チームの成長は懸念の解消プロセスに等しいと考えました。

すなわち、チームメンバーのひとつひとつの懸念を払拭していくことで互いの信頼関係やコミュニケーションが活性化し、チームの生産性や創造性が発展すると考えたのです。

皆さんのチームメンバーにはどのような懸念がありそうでしょうか。このような逆境こそメンバー同士の関係を振り返り、絆を強めるチャンスでもあります。先行きの不透明感があるからこそ、互いのケアを深めていきましょう。

これからも皆さまのお役に立てますよう、コラムをアップしてまいります!どうぞよろしくお願いいたします。