今年も残すところ僅かとなりました。

今年の振り返りといえば、10大ニュースなど、「出来事」を基準に振り返ることが多いですが、今回は「自伝的記憶」という切り口から、こころ豊かな振り返りの工夫についてお話します。

「自伝的記憶」と3つの機能

「自伝的記憶」とは、人生において経験した記憶のことです。

最近は「どれほど沢山、どれほど良く覚えているか」という研究から、「何故、どのように覚えているのか」に研究の中心が移り、自伝的記憶には私たちを支える、以下の3つの機能があることがわかってきました。

身近な例と共に解説します。

①自己(self)機能:自伝的記憶が自己の連続性や一貫性を支えたり、望ましい自己像を維持するのに役立つ。 また、過去と現在を対比させることで成長を実感するのに役立つ。

・・・例えばこの1年、仕事で達成できたこと、身についたスキルやノウハウなどを思い出し、自分の成長を実感する。

②社会(social)機能:自伝的記憶が対人関係の形成や維持に役立つ。また会話の中に自己の経験を挿入することで話の信憑性を高めたり、コミュニケーションを豊かにする。

・・・例えば仕事の仲間や家族との間で楽しんだ出来事や会話を思い出し、自分が多くの親しい人々に囲まれ、互いに影響し合っていることを思い出す。

③指示(directive)機能:自伝的記憶が様々な判断や行動を方向づけるのに役立つ。また、現在の問題と類似した過去経験を想起することで、問題解決やプランニングに役立たせることがある。

・・・例えば素晴らしいお客様や上司との出会いが自分の職業人生にとって大きなターニングポイントとなる。

頑張ったこの1年、こうした自分軸で振り返り、出来事や結果だけでは見過ごしがちな、自分らしい歩みも見えてくるといいですね。