経験したことのない大型台風の直撃で不安な時を過ごしておられたと思います。

この土曜日、私もテレビにくぎ付けで台風状況をみていましたが、この画面、①各地の映像、②左側の縦の大きな見出し、③上の横のテロップ、それに加えて④時に映像の上に出てくるニュース速報、それに⑤アナウンサーの音声など、5つくらいの情報が同時に出ていましたね。

刻々と変わっていく情報を追いかけていこうとしても、あまりに情報が多く、次第になかなか難しくなることを感じました。

今回は一時的に脳に情報を蓄えて処理する上で重要な役割を果たすワーキングメモリについてお話します。

ワーキングメモリ

私たちはものごとを考える時に、複数の情報を心に留め置き、それらの情報をもとに判断していきます。その際に重要な役割を果たすのがワーキングメモリで、作業記憶とも呼ばれています。

単純な例としては通販でクレジットカード番号を入力するために手元のカードの番号を記憶して打ち込む、電話をかけるために電話番号を覚えるといったものがあります。

実はワーキングメモリは容量に限界があると考えられていて、数字や単語の記憶の研究では、7プラスマイナス2個の範囲と言われています。また、ワーキングメモリは加齢の影響も受けやすいと考えられています。脳の容量を超えると古い情報はどんどん押し流されていきます。

こう考えると、今回の台風情報、同時に5つ程度の情報が次々に更新されるのですから、こなしきれないと感じるのはもっともですね。お年寄りなど、(自分も含めてですが)加齢に伴いワーキングメモリが低下しておられる方への情報提供は、関連する情報に絞り込む、同時には流さないなどの工夫があってもよいかなと思いました。

ワーキングメモリとラグビーの関係?

さて、今回のタイトル、一体何の関係が?と思った読者も多いことでしょう。

このワーキングメモリという概念を初めて提唱したのはバドリー(Baddely)氏ですが、その発見のきっかけは意外なところにありました。

バドリ―氏は大変なラグビーファンで、車を運転しながらラグビーの実況中継を聞いていて、運転とゲームを同時に思い浮かべることがひどく難しいという個人的体験から思いついたということです!

史上初のベストエイトが決まった昨日のワールドカップラグビー、試合終了ぎりぎりまで相手の猛攻をしのぎ、自分たちのボールを懸命に守り続ける姿は私たちに大きな力を与えてくれましたね。

開催国ですので、幸運にも日本の試合はいつも夜の時間帯ですから、多くの方は“ながら”ではなく、集中して応援しておられることでしょう。

逆境から這い上がってきたチームの更なる飛躍、応援していきましょう!

そして疲れた脳もリフレッシュ!していきましょう。