サッカー日本代表がアジアとしても初めて南米のチームに勝利した快挙に日本中が沸きましたね。

お気づきの方がおられたかどうか、今回も、渋谷駅前のスクランブル 交差点に押し寄せるサッカーファンの混乱を避ける目的で〝DJポリス“を含めた厳戒態勢が取られました。

“DJポリス”って?

“DJポリス”というのは、警視庁機動隊の中の広報部隊の方の愛称で、それが有名となったのは、2013年6月、サッカー日本代表がワールドカップアジア予選でワールドカップ出場を決めた夜です。

当時20代であった機動隊員が、渋谷駅前でひしめき合うサポーターたちに対して、「皆さんは12番目の選手です」「日本代表の固く綺麗なディフェンスのように統率の取れた動きで少しずつ移動してください」「そういう行動はイエローカードです」「皆さん、おうちに帰るまでが応援です」などの巧みな話術で人々を安全に誘導しました。

過去に日本代表が負けた時は、500人の警官による厳戒態勢にも関らず、その時居合わせたサポーターたちが暴徒と化したこともありました。この機動隊員はこの時の功績により警視総監賞を受賞しました。

こうした役割を果たす機動隊員は“DJポリス”という愛称で呼ばれるようになり、花火やお祭りなどの混雑時にも活躍しているようです。

恐ろしい群集心理の背景

ところで、人は何故、群集になると、普段では考えられないような、冷静さを失った行動をとってしまうのでしょうか?

群集心理を初めて研究したのはフランスのル・ボン氏です。医師でもあり、心理学者、文化人類学者でもあった、とても多彩な方でした。彼はフランス革命において、ごく普通の一般市民が、考えられないような残虐なことを平気でやるようになってしまったのは何故だろうと考え、群集心理の特徴を明らかにしました。代表的なものは以下のとおりです。

① 責任意識が分散し、匿名となることで道徳性や知性が低下し、自分の行動に関する責任感を失う

② 周囲の人の喜怒哀楽や興奮が伝染しやすくなる

③ その場の空気や勢い、メッセージに流されやすく、暗示にかかりやすくなる

④ 共通の敵を作ることで団結心や連帯感を高め、自分たちだけが正しいという排他性をもちやすくなる

 群集をコントロールするポイント

ル・ボン氏は、群衆をコントロールするポイントは以下の点にあると延べました。

①はっきりと、一方的に、わかりやすいメッセージを出す

②メッセージを何度も繰り返し、人々の心に刻ませる

③感情的な空気を広げていく

“DJポリス”は、“サポーターもチームの一員である”として個人的な責任感を促すようメッセージを繰り返し、成果を上げました。群集心理をよく勉強なさっているのでしょう。

“DJポリス”の話が面白過ぎて人だかりができ、かえって混雑したこともあるようですが、きっと更に話術に工夫を加えていくことでしょう。