前回、新型コロナウィルスの予防としての手洗い・うがいについてお話したところですが、終わりの見えないコロナウィルスの影響で、手洗い、アルコール消毒などの洗浄が著しく頻繁になったり、洗うのを止められなかったりしていませんか?

今回は、自分ではそれが精神的な症状とは気づきにくい、〝強迫行為“についてお話しします。

強迫行為とは

強迫行為とは”不合理なこととわかっても、同じ行動を何度も繰り返してしまうことを止められない”行為です。

代表的な強迫行為で職業生活に影響してしまうものとしては次のようなものがあります。

①汚染に関するもの

「手を洗った後でも汚れが気になって離席が増えてしまう」、「ドアノブに触れないので不自然な行動に見えてしまう」、「電話(特に受話器)に触れないので、電話が取れず、叱責を受けてしまう」など

強迫行為の程度によっては職場でも目立ってしまい、指摘や叱責が嵩みますが、止めようとしても止められないことがなお本人を苦しめます。

②安全に関するもの

「出勤時にドアの施錠を何度も確認してしまう」、「ガスや電気を消し忘れていないか何度も何度も確認してしまう」など

確認行為のための遅れを予測してもなお出勤が困難となり、確認行為の度合いが次第にひどくなる場合には朝の出勤に影響が出てしまいます。

対処法

もともと几帳面で真面目、こだわりを持って働いておられる方が、職場で強いストレスを抱えたり、不安を抱えたりする時にこのような困った症状が強まることがしばしば見られます。

治療法としては不安を和らげるための薬物療法がとても有効です。薬の服用により、困った行為への執着が減ることが実感できると、自分がこの行為をコントロールできる感覚を持つことができます。

ほかに、止められない行為を我慢し、そうしても問題がないことを確認していくことで不安を和らげていく、認知行動療法も有効といわれています。

私自身は、これらの療法をお勧めすると共に、職業生活や日常生活においてご本人が強いストレスや不安を感じられる事柄についてお伺いしつつ、不安が少しでも緩和するよう努めています。

先行きが見えず不安になることはもっともなことですが、過度の不安に巻き込まれないよう過ごしていきましょう。