近年は様々なチェックリストがHPで簡単に見つかるため、「自分が・・・ではないか」ということが来談のきっかけとなっている方を時折見かけるようになりました。

除外診断とは

人によっては「自分はうつ病ではないか」とはっきり述べる方がおられますが、精神疾患を疑う前に重要なアクションがあります。それは「除外診断」です。

除外診断とは、「よく似た別の病気の可能性を該当科の診察や検査で除外すること」です。「うつ病ではないか」とおっしゃる方の気になる症状をお聞きすると、「心臓の動悸がひどい」、「食欲がない」「体重が急に減ってきている」「体がだるい、重い」「めまい」「吐き気」などの様々な身体症状を伴う場合が多くみられます。

こうした場合、「そうしたお困りの身体症状について、病院で検査を受けられましたか?」と聞きますが、NOの場合が圧倒的です。

まずは心臓、胃腸、耳鼻咽喉などの器官の異常がないことを確認するのが優先で、それらに異常がないことが明らかとなった場合に、精神疾患の可能性を疑い、専門医を受診するというのが正しいプロセスとなります。

うつ症状に似た身体疾患例

これまで、うつの症状に極めて似ていましたが、身体疾患の可能性を疑って精密検査をお勧めした方で、膠原病などの自己免疫疾患、甲状腺、副腎皮質などの内分泌疾患が見つかった方が複数おられます。

きちんとした診断がついたことで有効な治療が見つかり、その結果うつ症状に似た症状も改善なさいました。言うまでもなく、「辛い症状がどこから来ているのか不明」という不安からも解消され、気分も大きく改善なさいました。

ストレスチェックも始まって、こうした身体症状がストレスのサインであるという認識が広まってきていることは重要なことですが、まずは器官の異常を疑うのが先であることはお忘れなく。