サッカーワールドカップ、今週は2日とも深夜の試合でしたので、大興奮のまま夜中を迎えて眠りも浅く、職場で辛い時差ボケを味わっている方、多いのではないでしょうか。

時差ボケと体内時計

時差ボケは生活リズムと、自分自身が持っている体内時計のずれからくるものです。

日々時間に追われて生活しているので自分の自然な眠気や食欲など、すっかり忘れていたかもしれませんが、今こそ自分自身の体内時計に気づく絶好のチャンスです。

概日リズム

体内時計は専門用語で「概日リズム」と呼ばれています。

概日リズムとは約24時間周期で変わる生理現象のことで、動物、植物、菌類など殆ど全ての生物に見られるものです。

地球の環境は光や温度が日々変わるので、それに応じた最適な生理や行動をとれるよう生物は概日リズムを進化させてきたと考えられています。

古代より、植物の葉の日中の動きにリズムがあることは知られていましたが、科学的に立証されたのは18世紀のことです。フランスの科学者によるオジギソウ(ミモザ)の研究で、光という刺激が全くない中でも葉が開いたり閉じたりする概日リズムが見られることが明らかとなりました。

時計遺伝子の発見と解明

20世紀に入ってからの遺伝子研究では私たちの60兆もある細胞のひとつひとつに時計遺伝子があり、体の様々な機能にリズムを生み出していることまでがわかってきました。

ごく最近のことでは、体内時計を生み出す時計遺伝子を研究したアメリカの研究者3名が2017年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

彼らは夜明けから夕暮れに至る1日のショウジョウバエの生活リズム!を研究していくつかの時計遺伝子を特定し、それらが日中どのように変化してまた翌日を迎えるのかを明らかにしました。

体内時計と生活リズムの調和が大切

私たちが健康な生活を続けるためには時計遺伝子の動きによる体内時計と日々の生活リズムがうまく合っていることがとても大事です。体内時計が乱れると睡眠や食生活、ホルモンや血圧、体温に変化をもたらすこととなり、ひいてはがんや代謝疾患のリスクを高めるという指摘もあります。

深夜や未明のサッカーの応援は、時差だけでなく、興奮や緊張も伴います。

特に中高年の皆様にとっては、概日リズムの上では本来血圧が下がっているはずの深夜の時間帯に血圧が上昇してしまう、なんていうことも・・・

リセットには朝の光が有効

これまでの研究では体内時計の乱れは光によりリセットされると考えられています。眠い目をこすりこすりでも朝の光を浴びて、なるべく速やかに体内時計がもとのリズムに戻るよう心がけましょう!

でも、今度は午前3時からの歴史的試合ですね。時差ボケが積み重なっている方たちはこの猛暑もあり、どうかお気をつけてお過ごしくださいませ!