大きな環境変化を春に迎えた方、最近体調はいかがでしょうか?五月病といわれるように環境変化が体調面に現れやすい季節、出勤しようと思うと心臓の動悸がひどい、職場で吐き気やめまいがするなど気になる症状は要注意。環境変化にうまく適応できず、体も心も悲鳴を上げている可能性があります。

 体の症状と心のつながり

ネットで様々な症状について調べることができるようになったこともあってか、最近は自分で「うつだと思う」と言って来談なさる方がおられます。けれども胸の痛みや吐き気などある場合はまずは器官の異常がないか、医療機関で診ていただくのが先決です。心臓の動悸ば循環器、吐き気など胃腸の不調は内科、めまいは耳鼻咽喉科を受診なさってください。異常がない場合に担当医から症状の形成には何らかのストレスが関わっている可能性があるので精神科や心療内科などの専門医に行ってごらん、と受診を勧められる場合があります。

例えば吐き気ですが、食べ物で考えてみましょう。胃が疲れているのに暴飲暴食してしまうなど、胃が詰め込まれたものをこなしきれない、そんな状況から起きますね。これは心理面でも同じことです。例えば新しい環境となり、新しい同僚やお客様、新しい業務知識をどんどん詰め込まないといけないのに、吸収しきれない感じが長く続いたりすると、そうした心理状態を体が吐き気という形で表現すると考えられます。

 対処法と効果

様々な身体症状が出てしまうと仕事に支障が生じ、非常に辛いものです。薬は症状改善に有効ですし、信頼できる同僚やご家族に辛い状況についてお話なさり、理解してもらうことも大きなサポートとなります。周りの人には話しにくい、理解されにくいという方も多く、そうした方にはカウンセリングをお勧めします。プライバシーが保たれた環境で、ゆっくりと自分の体調、抱えてきた様々なストレスについてカウンセラーとの対話を通じて洞察を重ねてゆくことが助けになると思います。

職場で中堅として活躍なさっているAさん、来談なさった当初は胸の痛み、めまい、吐き気など体の苦しみを強く訴え、職場のストレスを感じたことはないのでどうして自分がこうなってしまったのかわからないとのことでした。これまでのキャリアやパーソナルな経過をお聞きしていくにつれて、実は異動後、新しい職場環境や周囲の期待に応えようと目一杯働いてきたこと、振り返れば忙しくて食事や睡眠もおろそかとなり疲れていったこと、なかなか成果が出せず、焦っていた中で大きなミスをしてしまい、すっかり自分に自信を失ってしまったことなどが徐々に思い起こされ、自分が思っていた以上に大きなストレスを抱えていたことに思い至りました。そうして、自ら追い込んでしまいがちな性格を振り返り、職場におけるストレスの対処、今後のキャリアを重ねる上でどんな自分になっていきたいのかなど、色々な側面から洞察を深めていくうちに、気づいたら症状は軽快していきました。

言葉で自分を十分に表現していけるようになることで、体が主張することが減っていったというわけです。

誰だって大きな環境変化があれば苦しむことはあるものです。自分だけがこうなったと思わず、周囲のサポートを上手に活用していってください。

(写真は田植え直後の田んぼです。苗はどんなに大きく実るかな?今後の成長を楽しみに!)