いよいよ寒さ本番、風邪や乾燥対策でうがい、手洗い、保湿などのケア、始めていることでしょう。これから年末に向けて業務が多忙となり、精神的ストレスが嵩むこの時期ですが、案外忘れがちなのが寒さや日照時間の短さといった物理的なストレスです。

メンタルヘルスに影響を与える可能性もありますので、早めの対策を考えてみましょう。

寒さとストレス

ある調査データによると、最高気温が30度を超えた時や、最低気温が5度を下回る時、人の感じるストレスが高くなる傾向があるといいます。

寒さは体の熱を奪って体温や代謝を下げてしまうため、それを防ぐために体の中では交感神経(人体の活動を活発にする神経)が働き、血管を縮めます。また、身を縮ませて熱の放出を防ごうとするので、体全体に力が入って緊張します。体全体が、“寒さと闘うモードになる”というイメージです。

こうした体の消耗は肩こりやだるさ、疲れ、冷え、不眠など自律神経の乱れにつながることがあります。自分にあった対処法で体を少しでも温める工夫をなさってください。自律神経を整えることはメンタル不調の予防につながります。

日照時間とストレス

冬季うつ病という言葉をご存知でしょうか。緯度の高い地域の人々に多く見られ、日照時間が短くなる10月から11月にかけてうつ症状が表れ、日照時間が長くなる3月頃になると回復するという季節性のうつ病です。アメリカの精神科医のローゼンタール氏の研究により、1984年にその存在が明らかとなりました。

英語でSeasonal Affective Disorderといい、その頭文字をとって、文字通りSAD(悲しい)と呼ばれています。一般的なうつ病が「眠れない」、「食欲がない」というのが代表的な症状であるのに対して、冬季うつ病は、いくら寝ても眠いという「過眠」、チョコレートや甘いものが食べたくなる「過食」が出やすくなる点が異なります。

冬季うつ病は日照時間と関連していますので、外に出て自然の光を浴びることが有効です。寒くて天気が悪いと室内にこもりがちとなりますが、自然の光を得るのに晴れている必要はなく、曇り空、雨空でも十分な光を浴びられるといわれていますので日々心がけてください。

働いていると、室内は空調で整えられ、季節の移ろいを感じにくいものですが、私たちも自然の生き物。まずは冬特有の外的環境もストレスになりうることを知り、これからの忙しい時期を乗り切っていきましょう。