もしも皆さんが時間にかっちりしていて、計画通りに物事を進めることを重んじている人であるならば、集合時間ぎりぎりまで来ない人、いつも締め切り間際に提出物を出してくる人、この計画で進めると思いきや途中で計画が変わっていく人にちょっとしたストレスを感じませんか?

一方、あまり細々、がちがち言われたくない、柔軟な対応をしていきたい人にしてみれば、しょっちゅう進捗を確認されたり、計画で決めたことが最優先で途中の修正を良しとしない人にイラッとすることもあるでしょう。

こうしたストレスの要因の一つが時間感覚の違いです。

「時間感覚は文化の違いから来ている」と述べたのは文化人類学者のエドワードホールです。彼は国や民族による時間感覚の違いについて、モノクロニックな文化とポリクロニックな文化の二つがあると提唱しました。

今回は、国や民族の文化の違いという観点ではなく、”自分や身近な人たちの中にある文化”に着目して時間感覚について考えてみたいと思います。

モノクロニックとポリクロニック

モノクロニックな人とポリクロニックな人は以下のように対照的な行動をとる傾向にあります。

モノクロニックな人の特徴 ポリクロニックな人の特徴
時計時間に厳密に従う 時計時間をさほど重視しない
期限を守る 期限より人間関係を重視し、期限の変更をいとわない
計画を厳守する 計画を柔軟に変更する
一度にひとつのことに集中する 同時にいくつかの仕事をこなす
短期の人間関係を重視する 長期の人間関係を大事にする
他からの干渉を嫌う 他からの干渉をいとわない

さて、ご自身、あるいは身近な人の時間感覚はどんな傾向があるでしょう?モノクロニックな傾向の人、ポリクロニックな傾向の人、色々と思い浮かびませんか?

職場もプライベートもモノクロニックという人もいれば、職場ではモノクロニックだがプライベートはポリクロニックなど、場面によって変わる人もいるかもしれませんね。

モノクロニック、ポリクロニック、バランスよく取り入れよう

本来、人は一元的な時計時間にとらわれず、陽が昇れば働きだし、沈めば眠るなど自然の移ろいや出来事、状況に従い時間を過ごす、ポリクロニックな生活をしていました。

モノクロニックな生活の始まりは機械による大量生産の産業革命でした。それまでポリクロニックな生活を気ままに過ごしてきた労働者たちは、生産性や効率性を上げるために時間に従って行動することが求められるようになったのです。こうして欧米中心に始まったモノクロニックな生活は、やがてグローバル化の進展や経済発展に伴い様々な国に広がっていったと考えられています。

今月から働き方改革関連法が始まり、今まで以上に勤務時間内の時間管理が厳しくなる会社も多いと思います。業務中のモノクロニック化は一層進んでいくかもしれませんね。

時間当たりの生産性や効率性、また規律という点でモノクロニックな時間感覚はとても有効ですが、人間関係を深めることを通じたビジネス展開、状況に応じた新しい発想などの点ではポリクロニックなあり方も重要です。

ストレスマネジメントの面でも、モノクロニックな生活で、「すべき」、「ねばならない」に追われている方には、ポリクリニックな生活で自分を解放させることはバランス回復につながります。

これからゴールデンウィーク、10連休という方も多いでしょう。普段モノクロニックな生活に偏りがちな方は、特に予定に縛られず、その時の状況で過ごしてみるといったポリクロニックな過ごし方も取り入れてみてください。一方、ポリクロニックな生活に偏りがちな方は、連休明けの生活リズムのギャップが大きくなりすぎないよう、モノクロニックな過ごし方を意識していきましょう。

令和の時代に向けて、思い思いの楽しい休暇をお過ごしくださいませ!