年末の慌ただしい中、そして生産性向上、残業制限の中で日本の多くのビジネスパーソンは昨年以上に過密なスケジュールで過ごしておられると思います。

今やスマホで全てのアポが事前のアラームも含めて克明に管理され、移動も路線検索でくまなく、無駄なく準備ができるようになって(しまったので)、遅刻が目立つ世の中となったなあと思っています。

今年最大の話題となった「遅刻」

そうした中、今年最大の話題となった「遅刻」はロシアのプーチン大統領とアメリカのトランプ大統領でしょう。プーチン大統領は安倍首相との対談で2時間半、過去最長はメルケル首相との会談で4時間15分の遅刻という記録があるようです。トランプ大統領の遅刻も有名なところですが、記憶に新しいのはやはり国連総会の一般討論への遅刻でしょう。

プーチン大統領やトランプ大統領の遅刻については、「相手を待たせることで自分が優っていることをアピールする」、「相手を苛立たせることで交渉を有利に進める戦略」など、“相手を支配したい気持ち”をめぐるコメントが多かったですね。

日本は遅刻が珍しい?

これだけ頻回に遅刻があるので、もしかしたら既に遅刻を想定したスケジュールになっていたのかもしれませんが、これが皆さんの日常業務に起きたら、アポの再調整だけでまた大変な業務負担となってしまうことでしょう。

考えてみたら、日本は、僅かに電車が数分遅れただけで何度も何度も繰り返しお詫びのアナウンスがあるほどですから、皆が時間通り、きっちりと動くという暗黙の了解の上に成り立っているのかもしれません。

国や民族による時間感覚の違い

文化人類学者のエドワード・ホールによると、時間感覚は国や民族によって異なり、時計時間に合わせて約束や期日に厳格である「モノクロニック」なカルチャーと、時間や期日を絶対視せず、人間関係やその場の状況を大事にする「ポリクロニック」なカルチャーがあるといいます。

前者の代表例はアメリカ、カナダ、スイス、ドイツ、北欧など、後者の代表例はアジア、アラブ、南米の国々などです。

日本は、もとはポリクロニックなカルチャーだったようですが、欧米の影響で時計時間を標準とするモノクロニックな生活が急速に広まったと考えられています。会議の始まりや集合時間は時間厳守なのに状況次第でなかなか終わらないのはその名残でしょう。

モノクロニック、ポリクロニック、2つの時間感覚をバランスよく

生産性や効率性、規律という点でモノクロニックな考え方が重要なのは間違いありませんが、あまりに時計中心で動いていると、自分らしさを感じにくくなってしまうかもしれませんね。少し時間にゆとりを持たせて、お客様や同僚と思わず話し込んだり、議論したり、そんな中から大きなアイデアが生まれるということもあるかもしれません。モノクロニックとポリクロニック、この2つの時間感覚をバランスよく自分の働き方に取りこんでみてはいかがでしょう。