木の成長と共に根に取り込まれた仏頭

医療技術の進歩に伴い、詳細な診断が可能となってきたのと同様、人工衛星の最新技術によって地殻変動についても様々な事実が明らかとなっています。その一つが、地震を起こした活断層に連動して動く小さな断層の存在で、〝お付き合い断層“というそうです。

お付き合い断層とは

お付き合い断層は、自分で地震を起こす力はないのですが、活断層が地震を起こした時には一緒になってずれ動きます。熊本地震の調査でメインの活断層以外に200以上の“お付き合い断層”がみつかりました。

 職場という地盤を眺めると・・・

さて皆さんにとって、職場という地盤はどうみえるでしょう。急に怒り出す上司や同僚⁉、ビジネス環境の急変、あるいは組織の統廃合など、インパクトの大きな人的、組織的な〝活断層“がどこかにありませんか?

普段からピリピリしている上司が、激怒して人を叱責しているような時、たとえ自分が叱責を受けているわけでなくても、自分が叱られたかのように不安や恐怖を感じて動揺することがあります。また、ビジネス環境の急変や組織の統廃合といった組織上の激変も私たちの自信やアイデンティティを揺るがす可能性もあります。

お付き合い断層同様、私たちのこころも、職場内の〝活断層“の動きにつられて揺さぶられることがあるものです。

 職場内の”こころの揺れ”から身を守るには

重要なのは、こころが揺さぶられることはあるとしても、そのことで自分が崩れてしまわないよう、〝活断層“から受ける負のエネルギーをうまくかわしていくことです。

先の上司の例で考えてみましょう。上司が激怒して感情的に叱責することがしばしばあるような場合、チームメンバーの多くがそのことにストレスを感じていることがあります。

不安や恐怖を感じてしまうのは自分が弱いせいだと考えず、同僚とそのことについて話し合い、気持ちを共有できることは助けになります。また、上司の叱責の仕方にあまりに大きな問題があり、チームのモチベーションや生産性が阻害されているようであれば、その上の上司に何人かの同僚と共に相談に行ってもいいでしょう。不安や恐怖が長期化したり、高じてしまわないよう、早めに何らかの対処を取ることが大事です。

お付き合い断層は今のところ地表に大きな崩れをもたらさないそうですが、将来的に地震を起こす可能性があるのかどうかはわからないそうです。職場で生じるストレスが溜まって自分を害しないよう、セルフケアを忘れずに過ごしましょう。

写真はタイ・アユタヤ遺跡群の中で奇跡の仏頭と呼ばれ、1600年代中ごろに胴体から地に落ちた仏頭が木の成長と共に根に取り込まれて現在の姿になったものです。今回の原稿と直接関係ないかもしれませんが、バーギブアップ!ということで!